職人のシゴト。
以前、ロレアル主催のイベントに参加した際に、こんな人物のトークセミナーを拝聴した事があった。
『職人社 秀平組
挾土 秀平【はさど・しゅうへい】
左官技能士。
普段は、近代的な建設物や個人住宅の壁塗りを行う傍ら、日本の伝統な土蔵から茶室等を行う。
東京の一流ホテルのエントランスロビーまで、
天然の土と素材を使った独自の世界の塗り壁づくりは、モダンかつ斬新で、
他に類がなく日本全国に活躍の場を広げている。
また、左官職人にこだわらない新しい手法を試み、
自然に還るものだけを使った空間や作品を、数多く発表し、画廊、ギャラリーによる個展活動も含め、
幅広い活動を展開している。』
とにかく話も内容も面白く、90分間があっという間だったのですが、その中から1つのお話をピックアップ。
左官の仕事の中でもいわゆる『ガワ』の仕事。
魅せるための芸術性の高い仕事をワールドワイドにやっていく中で、海外でパフォーマンスをする事があった。
言葉も通じない、説明もない中で高い技術を見せなくてはいけない。
そんな中、初めににパフォーマンスしたのは本当に細かく、繊細な技術を必要とするようなモノだった。
まぁー、コレが反応がイマイチ。
伝わらなかった。
色々試行錯誤し、その結果たどり着いた『伝わる』技術は結局のところ…、
『スピード』
「なぜそんなに手さばきが美しいんだ!」
「なんてスピーディーに壁をつくれるんだ!」
「仕事中にも道具が整理されていてなんてキレイなんだ!」
ココにみんなが「Amazing!!」と感動したそうな。
言葉なし、技術のみで人を惹きつけようと思ったらこれ以外はなかった。
キレイな仕事、細かい仕事って言うのはそんなもの見る人からすれば「当たり前」の事だった…。
美容師の仕事も全く同じ。
お客さまからすれば、技術なんて上手くて当たり前。出来て当たり前。
カウンセリングでデザインが決まったのであれば、設計図通りに進めていくコトをいかにスピーディーに美しく心地良く出来るか。
そこに初めて価値が生まれる。
だから「丁寧な仕事」=「時間をかける」はありえない。絶対に。
手が速くなくてもいい、手さばきが良ければ仕上がりは速い。
丁寧で無駄がないからこそ、仕事は「速い」のだ。
年配のお客様(美容室に通う経験の長いお客様)ほど、これは良く知っていること。
例えば大きな手術だったらどうでしょう?
担当のお医者さんが「丁寧な仕事を心掛けたので、出血多量で死んじゃいました。」なんて、通用するわけないですね。
プロの仕事には必ず「期限」が存在するというお話でした。
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